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シリーズ「淡海の城」(6)−北之庄城(きたのしょうじょう)(滋賀県近江八幡市北之庄町・南津田町)

  

今回は、八幡山の北隣の峰に位置する北之庄城を紹介します。
 ご存じのように、八幡山には豊臣秀次が築いた八幡山城があります。八幡山は津田内湖と西ノ湖に挟まれた山塊にある3つの峰の一つで、このうち一番南の峰が八幡山(標高271m)、そして真ん中の峰(240m)に北之庄城があります。
 『八幡山城址図』(江戸時代)には六角定頼の出城と記されていますが、北之庄城には城主や築城に関する記録・伝承が少なく、詳しいことはわかっていません。しかし、土塁をはじめとする城の遺構は保存状態が良く、見どころの多い山城です。
 北之庄城は峰の最高所に主郭と思われる上段曲輪、同じ尾根の北へやや下がったところに下段曲輪を設けています。後述の登山道から登ると上段曲輪にたどり着きます。上段曲輪の南端は、土橋を設けた見事な堀切で尾根を分断しています。上段曲輪には幅約4mの土塁をめぐらせており、南北に二ヶ所の平入り虎口が確認できます。南側の土橋につながっている虎口の西隣には櫓等があったらしく、土塁が複雑に入り組んでいます。そして北側の虎口は下段曲輪へ開口しています。
 上段曲輪と下段曲輪とのあいだには40mほど間隔があって、小さな土塁や平坦地を設けた傾斜地となっています。内部を平坦に造成していませんが、この西縁部分には上下の曲輪につながる土塁が設けられていますし、東縁部分には切岸を造っていることから、上下段の曲輪をつなぐ中段曲輪と見ることもできるかもしれません。東縁切岸の裾には南からのびてきた道が通っており、下段曲輪への入口になっている桝形虎口につながっています。この虎口は保存状態の良い点で当城一番の見どころです。

 北之庄城枡形虎口

 下段曲輪は上段曲輪よりも規模がやや大きく、三方を土塁で囲んでいます。土塁には先述の桝形虎口のほかに、西と北にも一ヶ所ずつの平入り虎口が開口しています。北の虎口の両側には外へ張り出す櫓台が設けられており、北からの侵入に対して堅固な構えとなっています。
 大手口になるらしい下段曲輪の桝形虎口、南端の堀切、北端にある二基の櫓台をそなえた虎口などからうかがえるように、北之庄城の外構えは堅固にできていますが、曲輪の内側は様子が少し異なります。つまり、上段曲輪では中央の一部が自然地形のまますり鉢状にくぼんでいますし、上段と下段のあいだの傾斜面も全体を平坦に造成しようとした形跡が見あたりません。これらは北之庄城が未完成であったことを示すのか、それとも別になにかの目的があったことを示すのか、これからさらに検討が必要でしょう。また、下段曲輪の内側にはいくつかの段が設けられており、中央には池が3ヶ所ありますが、これらについても詳しいことはわかっていません。
 北之庄城へは、JR近江八幡駅からバス(長命寺線)に乗り、「豊年橋和舟のりば」で下車すると便利です。北之庄集落にせまる尾根の麓に鎮座する北之庄神社から登山できます。曲輪には笹が密生していましたが、最近、測量調査のために刈り込みがおこなわれたので、今なら見学しやすくなっています。 (伊庭)

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